収まる気配がカケラもないコロナ禍のおかげで外出する機会が減った分、本を読む時間が格段に増えました。
去年は、謎の一念発起でWebデザイナーとして活動を開始したせいもあって、購入して読む本はWeb制作関連の書籍に偏っていましたけど、今年に入って乱読タイムが戻って来つつあります。
たまたまかも知れませんけど、最近立て続けに巡り合う「繰り返し読んでしまう本」に脳ミソを刺激されることが多いんです。
老化がターボ加速している身には刺激が強すぎてヘロヘロになりますが、その内容を反芻しながらゆっくりランニングして想いを巡らせるのはコロナ禍におけるオッサンの密かな愉しみのひとつになっております。
今回は、そんな「繰り返し読んでしまう本」の1冊を紹介します。
取材・執筆・推敲 書く人の教科書
それは2021年4月に発売されたライター古賀史健氏の著書です。
営業時間内に駅近くを通過する際はいつも立ち寄る「大阪の書斎」こと紀伊国屋書店梅田本店の新著コーナーで目に留まったのが出会いでした。
シンプルな装丁とストレートなタイトルに興味がわいたので手に取ってペロリンチョと表紙を開けて読んでみると、前書きの最後らへんに書かれていた文章
「これからその道をめざす人、そして「書くこと」で自分と世界を変えようとするすべての人たちへ届くことを願っている。」
にホホ~っとなりました。Webサイトを使いこなす最重要技能のひとつ「言葉の使いこなし」について、ソレを少しでも高みへ持っていくヒントを見つけることが出来たら幸せやな~と思ったからです。
なので、そのままレジへ向かって代金3000万円と税金を支払い、お持ち帰りしました。
早く続きを読みたかったので仕事先へ向かう道中10分くらいの間、歩きスマホならぬ歩き読みをしながら仕事先へ向かったのですけれど・・・
ページを数枚めくっただけで、気持ちを根こそぎ刈り取る勢いの重い文章が心に刺さりました。とても平素な文章です。
なぜ、あなたの文章がつまらないのか ~中略~
小手先の表現テクニックを学ぶより先に、まずは「読者としての自分」を鍛えていこう。本を、映画を、人を、世界を常に読む人であろう。あなたの原稿がつまらないとしたら、それは「書き手としてのあなた」が悪いのではなく、「読者としてのあなた」が甘いのだ。
引用元 取材・執筆・推敲―書く人の教科書 古賀 史健【著】
自分の文章との向き合い方が如何にバンホーデンのココアより甘く、湯を入れて30分経ったカップ麺のようにヌルく延びていたのかと痛烈に思い知らされ、実際に殴られたわけでもないのに頭クラクラ足元フラフラ状態になりました。
以降、500ページに渡る長編は終始この勢いで甘っちょろい私の心を刈り取り続けましたけど、最後の章にあった一文へたどり着いた途端、すこし泣いてしまいました。
その他色々と紹介したいトコロがあるのですけど、ネタバラシが主旨ではないので気になった人は購入してください。とにかく「書くことで自分と世界を変えようとする」かも知れない人や、してみたいかも?と1ミリでも思っている人は一度目を通しておいた方がよい本です。
そして、本の内容を「分かる」までは、すぐ手に取れる場所に置いておくことをオススメします。もちろん私もそばに置いていつでも読めるようにしています。なんせ「教科書」ですから。
その後、仕事してWeb制作の修行を続けつつ他の本を読みながら3週間ほど経ち、暮らしの隙間にせっせとこの本を読み返し続けているのですけど、ある時この10年くらいくすぶっていた謎を解くヒントを見つけました。
引用した件(くだり)の「書き手としてのあなた」が悪いのではなく「読者としてのあなた」が甘い・・・という部分が取っ掛かりです。
ヒントを得てから先、謎が解けたのかどうなのかは現在進行形なので別の機会に書きます。
だれも聞いてないけど。